大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)1640 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人涌澤正止郎の上告趣意について。

論旨一点は、原判決の証拠上の違法を主張するに過ぎないものであるから、明ら

かに刑訴四〇五条に当らない。そして、原判決が証拠の標目として「被告人の当公

延における云々」と記載したのは「被告人の原審公廷における云々」と記載すべき

ものを杜撰にも「当公廷云々」と誤記したものと解される。なぜなら、事後審たる

控訴審では通常被告人は供述をしないものであり、現に被告人は第一審では供述し

ているが原審ではかかる供述をしていないばかりでなく、原判決は「被告人の……

旨の供述記載」と記載しているからである。それ故原判決には刑訴四一一条を適用

してこれを破棄しなければならない欠点があるとすることはできない。論旨二点も

刑訴四〇五条に当らないし、また、原判決は所論Aの供述記載を唯一の証拠として

いないばかりでなく、これが採否は原審の裁量に属するから、原審が同証人の供述

記載を採用したからといつて、同四一一条一号の所定の法令違反があるともいえな

い。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により主文のとおり決定する。

この決定は、裁判官全員一致の意見である。

昭和二六年六月一四日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 眞 野 毅

裁判官 岩 松 三 郎

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